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ビデオアナリティクスの新時代

A new era for video analytics

ビデオ監視におけるアナリティクス (分析) は、特に新しい話題ではありません。Axisカメラで初めてアナリティクスアプリケーションが登場したのは20年以上も前のことですが、近年、テクノロジーの進歩によって、アナリティクスが一歩前進しています。今後、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォームの革新により、あらゆる業界のビデオ監視において、先進的なエッジアナリティクスの導入が加速していくでしょう。Axisは、最高品質の監視カメラの開発に重点を置く一方で、お客様がハードウェア投資を最適に活用できるよう、パートナーとともにアナリティクスの開発にも取り組んでいます。今回は、AxisのアナリティクスソリューションのマネージャーであるPetra Bennermarkにお会いし、Axisソリューションにおけるアナリティクスの歴史を振り返るとともに、その可能性についてもお話を聞きました。

「アナリティクス」という言葉は、現在、セキュリティと監視の分野で誰もが口にする言葉のようですが、まずは、Axisとアナリティクスの簡単な歴史を教えてください。

わかりました。Axisは、1996年に業界初のネットワーク監視カメラを発表して以来、最高品質の監視カメラを設計、製造する企業として知られています。監視に関するお客様のニーズやさまざまな用途に対応することがAxisの活動の中心テーマであるため、業界初のネットワークカメラを開発して間もなく、カメラにアナリティクスを追加する可能性を追求し始めました。カメラからの映像情報を解析し、その結果に基づいて何らかのアクションやアラートを発することができれば、お客様のセキュリティや監視業務を即座に効率化できることは明らかでした。  

2000年、Axisは、カメラに動体検知機能を搭載しました。この機能により、本来は動きのない撮影場所で何らかの動きが検知されると、オペレーターにアラートを送り、ビデオ録画を開始します。その数年後に発表したAXIS 242Sビデオエンコーダは、カメラの映像フィードに直接アナリティクスを適用することができ、パートナーによるアプリケーション開発の機会を生み出した革命的な製品でした。さらに、2009年には、AXIS Camera Application Platform (ACAP)が開発され、より幅広いパートナーが当社のカメラ用アナリティクスアプリケーションを開発できるようになりました。

現在では、カメラの処理能力が向上し、機械学習や深層学習が可能になったことで、アナリティクス機能が大きく変化しています。効果的なビデオアナリティクスの基盤となるのは、高い処理能力を備えた高品質のカメラです。Axisの場合、これは、Axisが独自に設計したARTPECチップの優位性から始まっています。

なぜ独自チップを設計することがアナリティクスにとって重要なのでしょうか?

Petra Bennermark
Petra Bennermark, Axisのアナリティクスソリューション マネージャー

簡単に言うと、ネットワークビデオ用に100%最適化されたチップを設計できるからです。そしてその他の多くの利点とともに、ビデオアナリティクスに最適なハードウェアプラットフォームを実現することができるからです。

最初のARTPECチップは、1999年にリリースされました。以来、ARTPECは、Axis Lightfinder 、Axis Wide Dynamic Range (WDR)、Axis Zipstreamなど、Axisが業界にもたらした多くのイノベーションや拡張機能の基礎を形成してきました。ARTPECは、高品質なアナリティクスにおいて極めて重要な、最高品質の映像を提供するプラットフォームを提供します。

Axisは、独自チップを設計することで、非常に高性能な処理デバイスを備えた監視カメラを実現しました。そしてユーザーはネットワークの「エッジ」に配置されたインテリジェントなアナリティクス機能を、カメラ内で最大限に活用することができます。

カメラに搭載されたアナリティクス、つまり、映像撮影に近いところでのアナリティクスの実行には、いくつものメリットがあります。まず、より迅速なアラート、判断、そして遅れのない対応が可能になります。さらに、帯域幅、ストレージ、サーバーインフラの使用量が少なくて済むため、拡張性に優れています。送信データを制限できるので、機密性の高いデータを安全に保つこともできます。また、エッジでは圧縮されていない映像に対してアナリティクスを行えるため、圧縮による情報の損失がありません。

エッジでのアナリティクスは、システムの高い効率性や有効性につながります。また、最新の開発ツールはエッジ、クラウド、オンプレミスのサーバー環境を最大限に活用するハイブリッドアーキテクチャを可能にしています。つまり、エッジデバイスでアナリティクスの大部分を実行し、その結果を他のソースからのデータと組み合わせ、クラウドサーバーやオンプレミスサーバーでさらに詳しく分析することができるのです。システム全体に処理を分散させることで、コストを削減し、より良いユーザーエクスペリエンスを実現し、顧客価値を高めることができます。

Axisは長年にわたってアナリティクスを提供していますが、この分野の成長によってAxisの組織としての性質が変わってきているのでしょうか?

私たちの本質に変化はないと思います。よりスマートで安全な世界のためにイノベーションを起こすという私たちのビジョンはまったく変わっていません。ARTPECチップを基盤とするAxisカメラプラットフォームの継続的な強化により、より多くの組み込み型ネイティブアナリティクスの開発が可能になり、パートナーが多様なアプリケーションを開発できるようになりました。これは、セキュリティ、安全性、業務効率に関するお客様のニーズやさまざまな用途に対応するというAxisの目標を後押しするものです。

当社の開発エンジニアは、プラットフォームのアナリティクス機能を拡張することを常に考えています。これは、エッジにおける分析機能の強化・拡張と、撮影後の映像を検索・解析する能力の大幅な向上の両方に関連しています。近い将来、どちらの分野も大きく前進する見込みです。そのためには、映像と一緒にエッジでより多くのメタデータを生成する必要があります。

それです。「メタデータ」という言葉も最近よく耳にするようになりました。メタデータとは何なのか、なぜ便利なのかを教えてください。

単純に言うと、メタデータは、「データに関するデータ」です。ビデオ監視の場合、メタデータは映像の中で何を見ているかという情報を記述します。例えば、車両や人物などのシーン内のオブジェクトの分類や、車両や衣服の色、進行方向など、被写体に関連付けられた属性などです。

膨大な映像を検索する際、このメタデータが非常に役に立ちます。オペレーターは、「3月25日水曜日の18時から22時の間に、ビジネス街で撮影された映像のうち、赤い車が映っているもの」といった形式で、検索を実行することができます。将来的には、組織の計画に役立つパターンやトレンドを発見する上でも中心的な役割を果たすようになるでしょう。

ビジネス・インテリジェンスの可能性は無限大です。Axisのパートナーがこの分野を追求し、お客様の効率性の向上につながるアプリケーションを数多く開発することを期待しています。

アナリティクスを前進させるために、今後どのような開発が必要だと考えていますか?

私は、イノベーションの促進要因は2つあると考えており、この2つは密接に結びついています。1つは、エッジにおける処理能力のさらなる向上です。これによって、今までにないアナリティクスアプリケーションを生み出すことができるようになります。もう1つは使いやすさの追求です。これによって、アナリティクスの利点を確実に活かせるようになります。

私たちはすでに、ディープラーニング (深層学習) をベースとしたアナリティクス、または広い意味でのAI (人工知能) の恩恵を受けるカメラをいくつか発表しています。ARTPECチップの次のバージョンでは、ハードウェアアクセラレーションによる深層学習のサポートが、現在よりはるかに多くのAxisのカメラで可能になります。その結果、画像処理、圧縮、アナリティクスに関して、現在よりはるかに高いスループットを、優れた電力効率で処理できるようになります。

ユーザーの監視ソリューションでは、エッジ、オンプレミスやクラウドサーバーなどさまざまな環境がハイブリッドに組み合わされるようになり、エッジでの高性能な深層学習アナリティクスが普及していくでしょう。もちろん、人間のような知能レベルには程遠く、アナリティクスにはまだ限界がある点には留意する必要がありますが、ディープラーニングに基づくアナリティクスのより正確な検知と豊富な出力データは、人間のオペレーターにとってさらに価値のあるツールとなるでしょう。つまり、安全とセキュリティが強化され、業務効率が向上するのです。

とはいえ、アナリティクスは効果的に導入、活用されてこそ価値を発揮します。お客様やシステムインテグレーターの作業をできるだけ簡単にすることが、私たちの目標です。そのためには、アナリティクスを可能な限り迅速かつ簡単に設定、使用できるようにし、オープンインターフェースとサポート用ツールを提供することが重要です。

Axis自身も、カメラが提供するアナリティクスプラットフォームを最大限に活用することを考えていますが、アナリティクスのイノベーションの真の担い手になるのは、Axisのソフトウェア開発パートナーのグローバルネットワークでしょう。実際、ACAPのイノベーションによって、Axisのカメラプラットフォームはかつてないほど多くの開発者に利用されるようになります。Axisプラットフォームに基づくコンピュータービジョンの可能性は、ほぼ無限です。パートナーコミュニティの想像力によって何が創り出されるか、大いに期待しています。

Axisのアナリティクスソリューション製品の詳細は、こちらをご覧ください。
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