システムインテグレーターは、初期設計に始まり、導入と設定、さらには運用中のメンテナンスまで、監視システムのライフサイクルに含まれる要素のすべてにおいて、システム特有の複雑さに直面します。そのため、多くの人的労力に加えて、さまざまなツールが必要になる可能性があります。見込み客や既存の顧客に合わせた目標を設定、管理し、それを確実に満たすことは、セールスとビジネス開発プロセス全体で、さらには、長期的な価値をもたらす関係の構築において、きわめて重要です。
ハードウェアの事前構成、IPアドレスの設定、リソースの割り当て、設置と調整など、顧客の導入環境で必要になる非常に多くのプロセスのごく一部を挙げただけでも、システムインテグレーターが行わなければならない作業の複雑さが浮かび上がります。あらゆる段階で、人的ミス、偶発的な破損、情報伝達の齟齬など、さまざまな問題が発生する確率が高まり、そのたびに、顧客との関係に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、問題が発生すると、うんざりするような作業や作業のやり直しが必要になったり、何事もなければ不要だった費用のかさむ現地出張が必要になったりするおそれがあります。こうした要件への対処をすべて1つの中心的なプラットフォームに集約すれば、管理が容易になります。
AXIS Camera Integrator Suiteは、ソリューションのライフサイクルの重要な要素において支援を行う目的で設計されたツールセットです。この記事では、システムインテグレーターがこのソリューションを使用して、直面する主な課題にいかに対応できるかを紹介します。
インテグレーター用のオールインワン型のツールキット
AXIS Camera Stationは、学校、工場、小売店など幅広い環境で使用できる多機能なビデオ管理システムであり、顧客が施設と監視ソリューションを完全に管理することができます。一方、AXIS Camera Station Integrator Suiteは、システムインテグレーターが、設計からシステムメンテナンスまで、顧客の導入システムをライフサイクル全体に渡って効果的に管理するためのツールセットです。
最適なシステムを最初から設計
AXIS Site DesignerはAXIS Camera Station Integrator Suiteのシステム設計のためのキーツールです。
営業活動においては、個々の顧客に適したシステムを最初から設計することが不可欠です。後から設計に変更を加えるのは余計な時間がかかるだけでなく、費用も高騰するおそれがあります。設計の段階で綿密に共同作業を行うことで、プロジェクト全体がより明白になり、システムと、システムによって解決される問題に対する顧客の理解が深まり、その結果、セールスプロセスが円滑になります。
設計プロセスの最初のステップとしてAXIS Site Designerを使用して設計を行うことで、システムインテグレーターと顧客の共同作業を通じて顧客の業務要件に最適なシステムを明確にし、より迅速に最適な選択を行うと同時に、最適なパフォーマンスを確保することができます。
AXIS Site Designerを使用することで、システムインテグレーターが顧客の施設を訪問し、顧客との綿密な共同作業を通じて、現地の状況に基づいた設計を行うことができます。AXIS Site Designerは、タブレットやノートパソコンなどのモバイルデバイスで使用することができます。建物の見取り図をアップロードし、カメラなどのデバイスを設計図にドラッグ&ドロップして、さまざまなタイプのカメラを使用した場合の撮影範囲とブラインドスポットを直ちに確認することができます。
共同作業のアプローチを採用することで、カメラの選択、取付用アクセサリー、ストレージオプションなど、固有の要件に適したソリューションはどれなのかという疑問を容易に解決することができます。
AXIS Site Designerは、ダイナミックなツールでもあります。システムインテグレーターと顧客の話し合いの結果、何らかの変更が必要になった場合、設計図上で何回かクリックするだけで設計を更新することができ、関連する製品、アクセサリー、取付金具が自動的に更新されます。また、このような初期の段階においても、特定のカメラ名、解像度、保存期間を指定してシステム全体を構成した上で、その他の要件を明確にするためにメモを追加したり、設置担当者への詳しい指示を書き込んだりすることができます。
設計が完成し、顧客が納得した時点で、設置に関する指示と部品表を自動的に生成し、それらを共有することができるため、設計や構成のいずれかの側面が「失われる」可能性が完全に排除されます。
AXIS Site Designerを使用することで、システムインテグレーターは時間を節約しながら、顧客のニーズを効率良く具体的なソリューションに反映させることができるため、損失が大きいミスを回避すると同時に、顧客の要件に最適なシステムを実現することができます。
自動的な構成によるシームレスで正確な導入
構成の大部分は、AXIS Site DesignerからVMSに自動的にインポートすることができます。
手作業による構成は時間がかかり、潜在的にコストの高いエラー (後の段階における顧客の不満) の原因となる可能性があります。AXIS Site Designerでは、すべての構成をVMSに自動的にインポートして、誤りを最小限に抑え、導入に必要な時間を大幅に短縮することができます。構成は、いつでも必要に応じて手動で設定し、変更することができます。
部品表と設置に関するメモを作成し、利用することができるため、顧客、インテグレーター、設置担当者の間のコミュニケーションが改善され、システムが当初の設計意図の通りに稼働する可能性が非常に高まります。その結果、顧客が満足すると同時に、設置担当者が費やす時間を大幅に節約することができます。外部の設置業者を利用する場合にも、明確な指示と自動的なVMS構成は特に有益です。
テストと検証によってシステムの正常な動作を保証
AXIS Camera Stationに統合されたAXIS Installation verifierを使用して、現地でシステムを検証し、すべてが正常に動作するかを確認することができます。
効率的かつ正確にシステムを導入しても、そのシステムが負荷を伴うさまざまな状況下で完全に動作するかは全く別の問題です。導入の完了後は、統合型の検証ツールを使用して現地でシステムを検証し、すべてが正常に動作することを確認します。AXIS Camera Stationに含まれる検証ツールでは、さまざまな運用条件下での帯域幅の消費量と必要なストレージ量をシミュレートすることができます。検証テストの実行後、テスト結果に関する書面はすべて保存され、顧客にそのまま引き渡すことができます。
最初のテストは、通常の「現在の昼光」動作モードで行い、導入環境が目的通りに動作することを確認します。その後、すべてのカメラで「夜間モード」をシミュレートし、テストを行います。夜間シミュレーションテストでは、ノイズレベルが高く、帯域幅を余分に必要とする低光量下での動作においても十分な帯域幅があるかを確認します。最後に、AXIS Installation Verifierを使用して、システムで生成されるデータ量を徐々に増やすストレステストを、最初のボトルネックが発見されるまで行います。これによって、システムの余力が判明し、改善が必要かを判断することができます。これらの情報はレポートに要約され、システムの拡張性や導入の正常性が証明されます。
顧客のシステムの最大限の活用を保証
監視システムの運用・管理は、いずれはお客様自身が行う必要があります。そのためには、包括的なトレーニングや補足資料を使用して顧客を支援することが重要です。
検証テストの終了後は、すべての文書を保存し、顧客に引き渡します。これらの文書は、販売報告書という意味合いだけでなく、今後の参考資料として、またシステムの状態をフォローするための基礎資料となります。また、システムのトラブルシューティングや増設時、拡張計画時、さらには、引き渡し後にシステムが変更されたかについて設置業者と顧客の間でトラブルが発生した場合の解決にも役立ちます。システムの構成、選択したカメラ、ストレージなどに関する情報が保存され、簡単に検索することができるため、システムに関する顧客への教育において、すべての文書とレポートを利用することができます。
導入システムのメンテナンスが容易
AXIS Camera Stationでは、AXIS Camera Station System Health Monitoringを簡単に有効にすることができ、システムの稼働状態を定期的にチェックすることができます。インテグレーターは、このツールを使用してすべての顧客の稼働環境をモニターし、カメラとサーバーの状態に関する最新情報を入手できるため、現地への不要な出張を減らし、時間と費用を節約することができます。
システムのライフサイクル全体に渡り、効率化によって価値を提供
システムインテグレーターによる、価値の高い長期的な顧客関係の構築を支援するAXIS Camera Station Integrator Suiteは、システムの正常な動作の検証から、定期的な健全性モニタリングやステータスチェックにいたるまで、監視システムのライフサイクル全体に渡って、インテグレーターとその顧客にさまざまなメリットをもたらします。
最適なソリューションの設計と販売、より迅速で正確なシステムの導入、容易なメンテナンス、新たなビジネス機会の特定、そして最終的に、インテグレーターと顧客の関係の強化を実現することができ、まさにウィンウィンの関係を構築することができます。