セキュリティシステムの総コストは、カメラや設置のための初期費用だけではありません。実際、セキュリティシステムの購入や設定にかかる初期費用は、総所有コストのわずか30% に過ぎない傾向にあります。ストレージ、電力使用量、システム監視、メンテナンスなど、さまざまな要素がセキュリティシステムの総コストに影響します。しかし、ますます高度化するテクノロジーにより、セキュリティシステムの耐用期間にかかる運用コストを削減することが可能になりました。
ここでは、コストを大幅に削減するためのスマートなソリューションを展開できる3つの分野、ストレージとそれに伴う電力使用量、メンテナンス、追加照明をご紹介します。
ストレージの節約
法律では、証拠となり得るものを平均して30日または1ヶ月間保管することを義務付けていますが、地域やユースケースによってはこれが180日に延長されることもあり、ストレージがセキュリティシステム全体のコストに大きく影響することになります。ストレージのコストは、サーバーの購入だけでなく、サーバーのメンテナンス、サーバーの稼働や冷却に必要なエネルギーにも及ぶことを考えると、これは綿密に検討すべき分野と言えます。
しかし、ストレージの容量の削減は、保存するビデオのサイズを縮小するほど簡単なことではありません。多くの場合、ビデオの圧縮は映像の品質を低下させ、重要な画像の詳細が削除されてしまうため、映像を証拠やフォレンジック分析に使用することができなくなります。これでは、そもそもセキュリティシステムを導入する意味がなくなってしまう場合が少なくありません。
この問題を回避するため、Axis Zipstreamのようなスマートソリューションを導入することで、顔、タトゥー、ナンバープレートなど、必要な重要情報をすべて確保し、不要なデータのみを削除することができます。標準的な圧縮と比較して、帯域幅とストレージの要件を平均50% 以上削減しながら、カメラの性能を最大限に発揮させることができます。また、Zipstreamの新機能であるワンクリックでプロファイルを選択できる 「ストレージプロファイル」により、ビデオストレージに最適なレベルのパラメータを自動的に設定し、さらに最大50% の削減を実現することができます。
エネルギー価格が高騰している現在、ストレージ要件の削減ひいては電気使用量の削減は、全体のコストに大きな影響を与えます。
「その好例が当社が連携した南米の銀行です」とAxisの製品強化マネージャー、リカルド・マラニータ (Ricardo Marranita) 氏は説明します。「この銀行の電気代は非常に高く、その約86%はサーバーを冷却するための空調費でした。Zipstreamを導入してストレージ要件を削減することで、チャンネルあたり約200ユーロのエネルギー消費を削減することができ、100チャンネルごとに合計20,000ユーロの節約につながりました。銀行によっては支店全体で数千台のカメラを使用していることを考えると、相当な節約になるはずです。」
メンテナンス費の削減
カメラが必要な機能を確実に実行できるようにするためには、定期的なソフトウェアの更新と、カメラをクリーンな状態に保つことが必要です。これは簡単なことのように思えますが、常にこれらの手順を把握しておくという点や、どこが節約できるかを検討するという点でも見過ごしがちです。
物理的なデバイスのメンテナンス
当たり前のことですが、監視カメラが正しく機能するためには、クリアな視界が必要です。汚れ、ほこり、クモの巣などがたまると視界が遮られるだけでなく、放置するとオーバーヒートや部品の故障につながる可能性もあります。
しかし、特にデバイスが汚れやほこりの多い環境にある場合、カメラを手作業で清掃するコストがかさんでしまいます。例えば、海洋石油プラットフォームや化学プラントなどの厳しい環境下に設置された監視システムでは、カメラに付着した塩水やほこりを継続的に除去するため、多額のメンテナンス費用が発生します。
このようなコストに対処するため、企業はAXIS Q61のように、スピードドライなどのリモートクリーニング機能を備えたカメラや、親水性ドームなどのセルフクリーニング素材やコンポーネントを使用して設計されたカメラへの投資を検討することができます。この追加機能により、これまで2週間ごとにデバイスの清掃が必要だったスペインのある海港では、清掃間隔を1日ずつ引き伸ばすことが可能になり、5年間でデバイスあたり300ユーロ節約することができました。
「デジタル」メンテナンス
日々、新たな脆弱性が発見されています。ソフトウェアが古いまま放置されればされるほど、組織にとってのリスクは大きくなります。しかし、数百台、または数千台ものデバイスを扱う場合、どうすれば効率的にソフトウェアの更新を把握することができるでしょうか?大半は把握していません。
AXIS Device ManagerやAXIS Device Manager Extendなどのソリューションは、サイバーセキュリティコントロールの適用やファームウェアアップグレードのインストールなど、インストール、セキュリティ、運用の主要なタスクをすべて簡単に管理することができます。このツールを使用することで、1つのサイトまたは複数の敷地内にある最大数千台のAxisデバイスをリモートで管理できます。また、手動による更新をやめることで、組織を無防備にするおそれのある人為的なミスや更新漏れの可能性を減らすことができます。
「AXIS Device Managerのようなソリューションを採用することで、わずかな時間とコストで、より効果的なデジタルデバイスのメンテナンスを実現できます。」と、Axisの製品強化マネージャー、リカルド・マラニータ (Ricardo Marranita) 氏は述べています。「例えば、200台のカメラの更新と設定を行う場合、設置担当者が手動で更新を行うのに3週間かかるところを、わずか30分で行うことができます。この時間短縮により、当社のあるパートナーは、海港のデバイスの更新コストをチャンネルあたり約100ユーロから5ユーロ以下に削減することができ、利益率を高めると同時に、港のニーズをより効率的に満たすことができました。」
追加照明の低減
監視システムの多くは、夕暮れ時や暗闇でも高画質な映像を提供できることが求められます。セキュリティシステムをサポートするための手段の1つとして、照明を追加購入して設置し、電力を供給することもできますが、エネルギーコストが高くなります。また、カメラソフトウェアによっては、ゲインを上げることで低光量を補うこともできますが、ストレージの必要量や電気代が増加します。今日のエネルギー危機による電気代の高騰は、従来の5~10倍という驚異的な水準に達していることを考えると、システムの性能を損なうことなく照明や電力を削減する方法を見つけることが重要になります。
Axis Lightfinderのように、ストレージコストに大規模な影響を与えず、追加の照明を設置する必要がない光最適化テクノロジーを検討する価値があります。Axis Lightfinderを搭載したカメラは、非常に高感度なセンサーと入念に調整された画像処理を組み合わせることで、暗闇に近い状態でも動きによるブレを最小限に抑えた高解像度のフルカラー映像を提供することができます。低照度環境でも被写体の詳細を鮮明に捉え、外部光源を必要とせずに優れた画質を実現します。
追加照明の必要性を最小限に抑えるために導入できるもう一つのソリューションは、Axis OptimizedIRです。この高度なカメラ一体型IRソリューションは、カメラのインテリジェンス機能と高度なLEDテクノロジーを組み合わせ、完全な暗闇の中でも詳細を「見る」ことを可能にします。例えば、OptimizedIRを搭載した当社のPTZカメラでは、カメラのズームインとズームアウトに合わせてIR光線が自動的に広くなったり狭くなったりするため、視野全体を均一に照らすことができます。
また、セキュリティシステムによる視覚的な画像が必要な場合と不要な場合を検討することもできます。AXIS Q1656-DLE Radar-Video Fusion Cameraのようなオプションは、2つの強力なテクノロジーを1つのデバイスに統合しています。レーダーを使用すると、ほとんどの間外部照明をオフにしたまま、動きを監視することができます。動きが検知されると、ビデオ分析機能が作動してアラートを確認し、誤報を最小限に抑えます。1台のデバイスで光学系とレーダーを最大限に活用することで、一晩中外部照明に電力を供給する必要性を低減しながら、シーンのインテリジェンスを向上させることができます。
セキュリティシステムのコストを最小限に抑える
セキュリティシステムの総所有コストには、さまざまな要素が影響します。しかし、スマートテクノロジーを導入することで、セキュリティシステムの維持や運用にかかるコストを削減し、最終的にコスト削減につながるイノベーションを活用することができます。