数年前までカメラが使用するビットレートが業界におけるイノベーションの発展における技術的な障害となっていました。アクシスのエンジニアグループは、ビットレートをおよそ10~15%向上することを目標としていました。ところが最新技術を実現させた時、かれらの極めて大きな野望を上回る結果が導き出されました。撮影画像の重要な詳細部分を損なうことなく最大95%画像を向上させるという、予測をはるかに上回る結果となり、この技術は業界において様々な賞を受賞し、これ以降ほぼすべてのAxisカメラに採用されるようになりました。
Zipstreamが導入されるまでは、通常の動くことのない壁など重要でない詳細部分を撮影する映像監視にも、無駄に高いビットレートが使われていました。このため、ビデオ映像に必要な帯域幅とストレージに影響を与えてきました。2014年、スウェーデン・ルンドに所在するアクシスコミュニケーションズ本社では、さまざまなエンジニアグループがビットレートを変更するソリューションを構築し、これらの障害を解消するための開発に取り組み始めました。
「私たちが初めて屋外でのアルゴリズムの開発を試みたことは今でも覚えています。」とAxisコアテクノロジーメディア部門のシニアエンジニアであるビクター・エドパルム(Viktor Edpalm)は語ります。「私たちはそれまで、実験現場の理想的な環境から外に出ることが如何に効果的であるかを全く知りませんでした。フレーム内には、300匹ほどのカラスの群れ飛んでいる姿が収められており、ビデオ映像を圧縮から展開した後でも1匹づつの鳥を見分けることができたのです。これには非常に驚きました。」
ビクターはZipstreamの発明を創造的精神で支えた一員であり、この発明によりビットレートを低減するだけでなく、3つの異なるアルゴリズムを使用して重要なフォレンジック情報の識別を可能にし、最大解像度およびフルフレームレートでの録画と送信を実現しました。エキスパートエンジニアのシュテファン・ルンドベルク(Stefan Lundberg)とプロジェクトマネージャーのシィン・ダニエルソン・ファン(Xing Danielsson Fan、当時はエンジニア)とともに、ビクターとチームはこの技術を2014年に開発しました。
この技術は実際にあらゆる設置方式にも適用することが可能であるため、現在Axisではほとんどのカメラにこの技術を搭載しています。Zipstreamは、多くの賞を受賞し、多数のトロフィーを獲得しており、例えばアドバンスドイメージテクノロジー部門2015年「New Product of the Year」賞および映像監視データストレージ部門2016年「Government Security Award」をSecurity Todayマガジンから受賞しています。
最先端技術の探求
2014年には、ハードディスクストレージはまだ主要なストレージとして使用されていました。クラウドストレージが登場して多くの注目を集めましたが、ビットレートが主な障害となっていました。チームがはじめて編成された時、彼らには目標がありました。それは、詳細部分を損なうことなく保存できるよう、ビデオ映像を圧縮することです。この時、解決策はまだ見つけられていませんでした。
「私たちは、ソフトウェアの圧縮技術に潜在的な可能性があることを把握しており、オンサイトストレージとクラウドユーザーの両方に有益な技術を開発することに決定しました。」とシュテファンは語り、「これが何をもたらすのかは、全く予想できませんでした。」と続けました。
はじめに彼らは、ビットレートを最大でも10% または15% 最適化することを試みましたが、最終的には映像の詳細を損なうことなく最大95% も向上させる結果を導き出しました。感動的な発明の瞬間は、数か月間にわたる実験とブレインストーミングの後訪れました。それはビクターが同僚たちに2つの同じ映像の一部を、1つは通常のビットレートで、もう1つは新しい圧縮技術で紹介した時でした。ビットレートを低減した領域をハイライトするビデオのヒートマップにより、詳細を維持するとともに全体のビットレートを低減することが可能であることが証明されたのです。
シィンは思い出すように、「それを見た瞬間、私たちは偉大で特別な何かを発見したことに気づいたのです。」と語りました。
市場全体の流れを変えるゲームチェンジャー
当然のことながら、このプロセスには困難が伴いました。最大の課題は低照明条件でしたが、夜間だけではなく吹雪など悪天候下でもこの技術が映像をうまく処理することにチームは非常に驚きました。それどころか、日中よりも良好な結果を招きました。
チームのメンバーは、あらゆる課題を突破することができたのは、彼らの多様性にあると確信しています。異なる年齢、文化、専門分野のバックグラウンドの人々が集い意識を統一し、型にはまらず自由に取り組むことで、期待を上回る結果が導き出されたのです。
シュテファンは思い出すかのように「私たちは、クラウドユーザーがすぐにでも使えると考えたのです。」と語り、「でもオンサイトストレージを使用している人々は非常に喜んでくれました! はじめに彼らがこの技術を採用したのです。」
銀行分野においても法的な証拠となる詳細情報を確保するため、この技術の採用に多大な可能性が見出されました。Zipstreamにより大手銀行グループがはじめてAxisのクライアントとなりました; 支店のカメラにソフトウェアを統合することで、より多くの監視映像をビデオ品質を損なうことなく、1台の集中データベースに保存して管理することができます。
最先端技術の絶え間ない探求
Zipstreamの進化はまだ終わっていません。Axisでは、絶え間ない進歩と自社の基準を高めることにより、毎年向上することに尽力しています。
「革新性を発揮し維持するには、実際の問題が何であるかを把握する必要があります。」とシィンは語り、「顧客の声に耳を傾け、彼らが直面している機器との課題を知る必要があります。エンジニアは、製品がどのように機能するかを見失い、自身が重要であると思う課題に焦点を当ててしまいがちで、そうした場合、技術上のカスタマーエクスペリエンスには何ももたらしません。問題を解決するには、偏見のない考え方を維持し、知識を深め、ソリューションを生み出す新しい技術の組合せを見つける努力をする必要があります。」と続けました。